今回は所得税額控除について解説します。
所得税額控除の基本構造
配当金から控除される所得税額について、法人税の前払として支払う法人税の額から控除することができますが、控除できる金額は、所有期間に応じて変わってきます。
例えば、年1回配当のある3月期決算会社の株式を10月1日に市場から購入したとします。この場合、計算期間は4/1~3/31となり、6か月しか保有していないことから、支払った所得税の半分(6か月÷12か月)しか法人税から控除することができません。
この計算の原則は、単体申告でも連結申告でも変わりません。
グループ内で譲渡があった場合は注意
例えば上記の株式について、グループ内で売買があった場合はどうなるでしょうか。
いずれも連結納税子法人であるA社がB社から上場株式を取得したケースを考えてみます。単体申告の場合はあくまで上記の通り計算しますが、連結納税の場合、所有期間をグループ内で通算して考えます。つまり、A社もB社も同じ連結納税グループであり、グループ全体でとらえれば、外部への売却はされていないため、連結申告ではこの売買はなかったものとして所有期間を考えます。
つまり、グループ内で期中に売買があった場合は、全期間保有しているものとされ、全額控除が可能となります。
原則法と簡便法の選択はグループ内で統一する
所有期間に応じた所得税額の按分方法には、①原則法と②簡便法の2通りあります。この按分方法ですが、グループ内で統一して適用することになります。明らかに個社ベースでは原則法が有利であっても、グループ全体で計算した結果簡便法が有利であれば、グループ全体の最適を考慮して、通常は簡便法を採用することになります。
この選択は、親会社が判断することになりますので、子会社側では、その通知を待って処理すればよいことになります。