今回は、「受取配当等の益金不算入額」計算について解説致します。
配当を受領しない子会社も親会社に数値を報告する必要あり
単体申告の場合、収益計上した配当がなければ、特に計算する必要はありませんが、連結納税の場合、グループ全体で計算することから、子法人でも必ず数値を集計して親会社に報告する必要があります。
受取配当等の益金不算入額計算の仕組みを簡単にご紹介します。
配当を支払う相手先に対する持分に応じて以下3つに区分され、それぞれ下記に掲げる計算式で益金不算入額を計算します。
(1)完全支配関係(100%持株関係)がある法人からの配当
→全額が益金不算入額の対象となります。
(2)関係法人(25%以上持株関係)がある法人からの配当
→配当の額から控除負債利子を控除した金額が益金不算入額となります。
(3)上記以外の法人からの配当
→配当の額から控除負債利子を控除した金額に対し50%を乗じた額が益金不算入額となります。
ここで、「控除負債利子」の額を算出する必要があるのですが、この計算は以下の通りとなります。
控除負債利子=負債利子の額×株式簿価÷総資産簿価
連結納税では、この控除負債利子の額をグループ全体で計算するため、グループ全社が負債利子の額、株式簿価、総資産簿価を算出する必要があるのです。
各項目ごとの留意点
控除負債利子の計算は、上記3つの要素が必要となりますが、数値の集計に当たり留意すべきポイントをご紹介いたします。
(1)負債利子の額
いわゆる支払利息の金額です。連結納税特有の決まりとして、連結法人に対して支払う利息については含まれない、とされています。つまり、100%親会社等に対し借入金があり、利息を支払っている場合には、負債利子の額に含まれないことから、別途集計をしておく必要があります。
(2)株式簿価
税務上の簿価である点が注意です。会計上減損をしているケースなどは、税務上の否認額を加算する必要があります。また評価差額を計上している場合も、あくまで税務上の簿価となります。この計算に誤りが多く見受けられるため、注意が必要です。
(3)総資産簿価
会計上の総資産簿価になりますが、下記の項目について加減算をする必要があります。
・貸倒引当金のマイナス表示 → 総資産簿価に加算
・その他有価証券の評価損等相当額 → 総資産簿価に加算(評価益等相当額は減算する)
・連結法人に支払う負債利子の元本 → 総資産簿価から減算
・特別償却準備金 → 総資産簿価から減算
親会社からは、システムへの入力あるいはワークシートへの入力が求められると思われますが、上記の注意点に従い、数値を集計するようにしましょう。なお、数値が誤っていると、連結納税グループ内の他社の税額に影響が出てしまうため、わからないことがあれば、親会社あるいは顧問税理士に相談するのが無難です。