前回の続きです。
前回は赤字の場合、未収入金 ××/法人税、事業税及び住民税 ××の仕訳が計上されることをご紹介しました。しかしこれは、連結納税グループの所得が十分にあり、連結子法人単体の赤字を吸収できる場合の仕訳処理となります。連結納税グループの所得が赤字等の場合、処理が異なることがあります。
連結納税グループ全体の所得によって仕訳処理が変わる
(1)連結納税グループ全体の所得が赤字になってしまった場合
例;親法人 △100 子法人1△200 子法人2(検討対象法人)△300 (グループ全体合計△600)
この場合、全体の所得が△600となり、残念ながら所得との通算ができません。子法人2の欠損金300はすべて「連結欠損金個別帰属額」となりますが、仕訳処理は、基本的には「なし」となります。
※ただし、欠損金について税効果があると判断されれば、繰延税金資産 ×× / 法人税等調整額 ××の仕訳処理が行われます。
(2)連結納税グループの所得が黒字であるが、子法人2の赤字所得を下回る場合
例;親法人 △100 子法人1+200 子法人2(検討対象法人)△300 (グループ全体合計△200)
グループ全体の所得は、△200となります。△200は「連結欠損金」であり、赤字法人の欠損金金額の比で分け合うことになります。
・親法人の連結欠損金個別帰属額=200×100÷(100+300)=50
・子法人2の連結欠損金個別帰属額=200×300÷(100+300)=150
子法人2については、所得300のうち150が連結欠損金となり、残りの150について連結法人税個別帰属額相当額(150×25%=37.5)を親法人よりを受領します。この場合の仕訳処理は下記の通りとなります。
未収入金 37.5 / 法人税、住民税及び事業税 37.5
さらに、連結納税グループ全体の将来の課税所得を見積もり、欠損金が将来利用可能と判断されれば、連結欠損金個別帰属額について繰延税金資産を計上することになります。仮に全額回収可能とすれば、150×25%=37.5を繰延税金資産として計上します。
繰延税金資産 37.5 / 法人税等調整額 37.5
※計算単純化のため、法人税率は25%としています。
子会社では状況はわからない・・・親会社のリードが重要
上記の通り、連結納税グループの所得によって、子会社側の仕訳処理は変わります。しかし、子会社側では連結納税グループ全体の所得は通常分かりません。未収入金として計上するのか、あるいは繰延税金資産として計上するのか、については、親会社からの通知に基づき計上すればよいということです。
つまり子会社側では親会社の通知を待って仕訳処理を行えばよいのです。焦る必要は全くありません。