連結納税お役立ち情報(その2)M&Aを積極的に行う場合は注意
平成22年のグループ法人税制創設により、連結納税導入のハードルが下がったといわれています。事務コストの問題がクリアできれば、基本的には導入したほうが有利と言えます。
ただし、将来的に積極的にM&Aを行う予定がある場合には、連結納税の導入はデメリットとなる可能性があるため注意が必要です。
100%支配関係5年未満の場合は時価評価が強制され、欠損金が切り捨てられる
連結納税のデメリットとして「時価評価」と「欠損金切り捨て」があります。
連結納税を既に採用している親会社が、株式の買い取りにより100%子会社を取得した場合、取得した時点では100%保有関係の発生から5年経過していないため、子会社の資産について時価評価が強制されます。また、繰越欠損金があれば、切り捨てられてしまいますので、せっかく連結納税グループに加入しても、繰越欠損金が活用できません。
株式交換の活用によるデメリットの克服
株式交換を活用した100%子会社化であれば、「時価評価」及び「欠損金の切り捨て」が不要となります。株式交換によるM&Aが可能であれば、連結納税採用が即デメリットとなるわけではありません。
なお、株式交換を利用するにあたり、子会社の株主に好まざる株主がいるような場合は、親会社株式が均等に割り当てられてしまうため、その点について十分な検討が必要となります。