平成22年のグループ法人税制導入により、連結納税グループ内の寄付金は損金不算入となり、受贈益は益金不算入となりました。
したがって、例えば連結納税グループ内で時価によらない取引が行われた場合、グループ全体の所得計算には影響を与えないことになります。
時価を無視した取引は果たして許容されるのか?
では、連結納税グループ内では時価を無視した取引は可能なのでしょうか?
答えは当然NOです。
地方税は個別所得をベースに計算することから、税法にしたがって個別所得を計算する必要があることは言うまでもありません。
他にも、措置法68の11で「中小連結法人が機械等を取得した場合の特別控除」制度では各連結法人の税額控除限度額を算出する必要があり、個別所得をベースに計算する必要があることから、やはり個別所得はきちんと算出する必要があるのです。
時価への修正仕訳は以下のイメージとなる
例えば時価100(簿価100)の資産をP社が50でS1社に譲渡した場合を考えてみましょう。
特に調整をしない場合は以下の仕訳となります。
<P社> 現金 50/資産 100 <S社>資産 50/現金 50
譲渡損 50
これを税法に従い仕訳すると、以下の通りとなります。
<P社> 現金 50/資産 50 <S社>資産 100/現金 50
寄付金 50 受贈益 50
寄付金と受贈益が両建てになりました。寄付金は損金不算入となるため、P社で認識していた譲渡損はなかったものとなります。また、S社では受贈益50が益金不算入となり所得計算には影響がありませんが、資産の簿価が100となるため、将来売却などした場合に影響が出ることになります。
連結納税グループ内であっても、時価への調整が必要となるのです。