税制適格ストックオプション
このところの株高を背景に、ストックオプションの行使が増加しているようです(平成26年4月22日/日本経済新聞朝刊)。縁のない人間からすると随分羨ましい制度ですが、従業員のモチベーションアップにつながる施策として認識されており、実際多くの企業が導入しています。
ストックオプションとは
ストックオプションとは、簡単にいえば企業の株式を一定の価格で買い取ることができる権利をいい、この権利を行使するかどうかは、権利者の自由です。不利と判断すれば特段行使する必要はありません。
たとえば「権利行使価格を¥1,000とする」などと定め、決められた期間に1株1,000円で株式を購入する権利が与えられます。株式を購入した後譲渡することは基本的には自由で、もし株価が上昇して2,000円で売却できれば、1株あたり1,000円の利益となります。
課税関係はどうなる?
ここで気になるのは、税金はどうなるのか、ということです。
まず、売却して発生した利益(上記でいえば1株あたり¥1,000)について株式の譲渡所得が課税されます。株式の譲渡所得は、平成26年以降は税率20.42%(復興税含む)とされています。残念ながら譲渡益は課税されてしまいますが、この20%の税率は利益の金額にかかわらず一定なので、最高税率で課税されている高額所得者にとっては、かなり有利となります。
また、ストックオプションの権利を付与された時点での課税は、「税制適格ストックオプション」に該当すれば課税されないこととされています(逆に、下記要件に該当しない場合は、権利相当の利益に対して課税されます)。
ここで、税制適格ストックオプションについて確認をします。
- 付与対象者…自社及び子会社の取締役、執行役、使用人
- 権利行使期間…付与決議の日後2年~10年
- 権利行使価額…ストックオプションに係る契約締結時の時価以上
- 権利行使価額の制限…権利行使価額が年間1,200万円を超えない
3の要件にあるとおり、権利行使価額はストックオプションを与えられた時の時価以上とされていることから、株価が上昇してくれないと、利益を享受することができません。
次回は1円オプションについて解説したいと思います。