グループ内取引の報告義務導入について
資本金1億円以下の中小企業については免除されるようですが、原則として、海外子会社との取引がある場合、親子会社間の取引価格とその価格の決定方法について、税務当局に報告する義務が課されることになりそうです(日本経済新聞平成26年9月17日)。
税負担の過度な軽減に対する社会的批判
スターバックスやグーグルなど、グローバルに活躍する海外企業では、アイルランドなど税率の低い国へ所得を集め、積極的に税負担を軽減していますが、このところ、企業の社会的責任の観点から批判が多く寄せられているところです。
OECDでは、過度な税負担軽減について歯止めをかけるため、共通の国際ルールを定めることとしました。
報告義務が求められる→事務負担の増大が懸念される
具体的には、海外取引について、年1回、税務当局への報告書の提出を求めるというものです。詳細なルールはこれから半年後をめどに決定されるようですが、中小企業であっても取引がそれなりの量になる場合もあり、相当な事務負担を迫られることになるかもしれません。
勿論、現状でも、移転価格税制の問題があり、日本においてもいわゆる「文書化」が一般的にはなってきていますが、会社のみで対応することは現実的ではありません。専門家に依頼することになりますが、コストが相当にかかるため、中小企業での導入は非常にハードルが高いのが現状です。
積極的な利益移転を行っている日本企業は本当に数少ないと思います。過度な税負担軽減を行っているのは欧米系のグローバル企業の一部に限定されます。人員に限りがある日本の中小企業に過度な事務負担の増大を求めることは是非とも避けて欲しいと思います。