民法/時効期間の改正と法人税への影響

120年ぶりに民法の改正が予定されているそうです。専門外のため詳しいことは他に譲りますが、たとえば、時効期間について短期(1~3年)の時効を廃止し、5年に統一する方向で進められています。

現行の時効期間はどうなっているか

たとえば、貸金については、商人間であれば5年、個人間であれば10年となります。また、商売上の債権(売掛金)は2年となりますが、飲み代のツケであれば1年となります。そのほか、取引の種類に応じて時効期間が決められており、詳細は「時効一覧」でネット検索すれば、簡単に参照することができます。

今回、1~3年と定められている、いわゆる短期消滅時効制度を見直し、時効期間を5年で統一する改正が行われるようです。

時効期間が統一され、分り易くなること自体は大歓迎です。というのも、時効の一覧表を見ても、いろいろな取引が並んでおり、言葉も耳慣れないものが多いため、素人には瞬時に、正確に判別することが難しいからです。

税務への影響~継続的取引停止後1年の貸し倒れがどうなるか?~

一方、税務上の観点からは、時効期間が延びた結果、貸倒れで損金処理するタイミングが遅れてしまうのではないか?という懸念もあります。

法人税基本通達9-6-3に、継続的取引が停止し1年経過した場合の貸倒損失の規定が設けられています。税務上、債権を損金処理するためには、相手先の財務状況が悪化したこと等を理由に回収できない事実を証明しなければならないのでハードルが高いと言われています。しかし、この通達に従い、継続的に取引している相手先との取引(あるいは最後の返済)から1年経過し、その間督促したものの回収できなった場合は、備忘価額1円を残して損失処理ができます。

今回、民法改正により、短期消滅時効が5年に延長されると、同様に5年経過しないとダメ、となるのでしょうか。税法の規定は短期消滅時効制度を念頭に置いたものと思われますので、民法改正に伴い通達の改正が行われるものかどうか、気になることころです。 

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