所得税段階税率のしくみ
個人的なことですが、所得税の段階税率についてしばらく誤解をしていたことがありました。
一般に、「所得税の税率は50%だから、半分が税金でもっていかれる」と言われています。全くの間違いではないのですが、実際のところ、所得税は段階税率になっているので、その認識は正確ではありません。
段階税率の計算方法
たとえば、平成27年以降は所得税の最高税率が45%(年間所得4千万円超)になりますので、最高税率で課税される場合の税額を試算してみましょう。
年間所得4千万円を超えてしまった場合(例;40,010,000円)
段階税率なので、7段階に分けて計算をします。
1.195万円以下・・・5% 1,950,000円×5%=97,500円
2.330万円以下・・・10% (3,300,000円-1,950,000円)×10%=135,000円
3.695万円以下・・・20% (6,950,000円-3,300,000円)×20%=730,000円
4.900万円以下・・・23% (9,000,000円-6,950,000円)×23%=471,500円
5.1800万円以下・・・33% (18,000,000円-9,000,000円)×33%=2,970,000円
6.4000万円以下・・・40% (40,000,000円-18,000,000円)×40%=8,800,000円
7.4000万円超・・・45% (40,010,000円-40,000,000円)×45%=4,500円
上記1~7の合計 13,208,500円
わかりづらく羅列してしまいましたが、実際に45%の税率で課税されるのは、実は10,000円(40,010,000円-40,000,000円)に対してです。それ以下の所得については段階的に5%~の税率で課税されます。すべての所得に対して45%の税率が課税されるわけではありません。
単純に税額を所得で割ると、13,208,500円÷40,010,000円=33.0%となります。実質税率は33%、という言い方になるでしょうか。45%よりは少し低くなっています(とはいえ、大変な金額になりますね)。
所得が増えれば増えるほど、最高税率で課税される金額が多くなるため、実質税率も上昇します。
通常は速算表で税額を算出
通常、所得税額を算出する場合は「速算表」というものを使います。上記の面倒な計算を行う必要はありません。
<速算表による計算式>
40,010,000円×45%-4,796,000円=13,208,500円
上記で算出した税額と一致します。
速算表は、上記の段階税率を加味した控除額を設定しているのです。