ゴルフ会員権の譲渡損失による還付スキームの否認事例から学ぶこと
残念ながら、ゴルフ会員権の譲渡損失による税金軽減(損益通算)は、この平成26年3月末をもって終了してしまいましたが、先日、譲渡損による還付スキームが税務当局否認されたとの報道がありました。この事例から学ぶべきこととは、一体何でしょうか?
ゴルフ場が破産してしまうと個人には何ら税金上の考慮なし
税務上、ゴルフ会員権を平成26年3月末までに売却すれば、損失として認められ、他の所得(給与や事業)と通算することで税金を軽減することができました。
一方で、売却しないままゴルフ場が破産してしまった場合、損失が生じることには変わりないのですが、税金上は損失と認められません。
会員権を保有するゴルフ場の破産をニュースで知った・・・・そうなると当然、「税金は何とかならないものか?売却すれば損失として認められるのであれば、今から後付けで売却したことにできないのか?」と考えるのではないでしょうか。納税者としてはある意味、当然の気持ちだと思います。
今回の事例より学ぶこと
新聞報道のみでは詳細はわかりませんが、おそらく今回の否認事例は、破産前に売却したものとして、後付けで売却した事実を作ったものと思われます。40人以上、総額約3億円の損失が計上されたとの報道もありますので、税務当局内でも相当目立ってしまったことでしょう。そのため、会員権業者への税務調査が行われ、今回の否認につながったものと推測されます。
契約書は後付けでいくらでも作成できますが、それ以外の客観的事実をきちんと立証することが重要となります。資金決算がきちんとされているか、またメール等で売却の意思表示が後付けでなく行われているか、などの事実をきちんと示すことです。後付けの場合、契約書以外の客観的事実を積み上げるのが難しく、ぼろが出やすいのです。
やはり、節税は早めの対策が必要、ということに尽きると思います!