平成27年度税制改⑨国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付義務化
海外居住の親族について扶養控除を受ける場合、今後は「親族関係書類」や「送金関係書類」の提出が必要となるなど、要件が厳しくなります。
扶養控除とは
扶養控除とは、所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合に一定の金額の所得控除が受けられる制度をいいます。控除対象扶養親族とは、以下の要件に当てはまる親族をいいます。
(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)
(2)納税者と生計を一にしていること。
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
生計を一にしているとは
上記(2)の要件について、生計を一にしている、とは必ずしも同居していることが要件とはされていません。国税庁HPによれば、
「例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。」
とあります。つまり、別居であっても、生活費等が資金送金されていればよいことになります。
判定が難しい外国人の控除対象扶養親族
日本の居住者であれば、親族の範囲は明らかであり、また所得金額はある程度捕捉できます。しかし外国の親族となると、いずれも確認が困難です。生計を一にしていることの要件として資金を送金していることが条件となっていますが、例えばアジア最貧国のバングラデシュでは月額約1万円の給与で多くの家族が暮らしている事実があり、単純に資金送金額が少ないからといって日本の常識を当てはめるわけにはいきません。
多くの方は正直に申告していますが、この制度を悪用していると思われるようなケースもあるように聞いています。
今後は適用要件が厳しくなります
上記の実態を反映し、今回税制改正により適用要件が厳しくなります。つまり、判定の難しい外国の親族を特定するための「親族関係書類」が必要となり、また「送金関係書類」の添付が求められ、資金送金の事実を客観的にする必要があります。
適用は平成28年分の所得税からとなります。