平成27年度税制改正大綱⑤税額控除制度の見直し
特定業種の優遇策として批判されることの多い租税特別措置。今回、研究開発税制について縮小がされることなります。一方、所得拡大促進税制については、要件を緩和するなど、メリハリがつけられることになりました。
研究開発税制の見直し
控除額について法人税額の30%相当(原則20%)とする措置を平成27年3月31日までに開始する事業年度(3月決算会社の場合で平成27年3月期)をもって廃止するとともに、下記の改正が行われます。
オープンイノベーション型
大学等との共同研究などに要する費用を「特別試験研究費」といい、従来の控除割合は12%でしたが、これが30%に大幅に拡大されることになります(企業間の試験研究は20%)。ただし法人税額の5%が限度となります。
総額型
試験研究費の総額に対し控除割合が8~10%(中小企業は12%)の税額控除制度です。法人税額の25%が限度となり、従来よりも5%ほど枠が少なくなります。上記オープンイノベーション型の税額控除限度額(法人税の5%限度)と併せ、合計で法人税額30%相当額の控除枠となります。
増加額(※1)又は高水準型(※2)
上記とは別途、増加型又は高水準型の要件に該当する場合は、法人税額の10%を限度として税額控除が認められます。
(※1)増加型・・・試験研究費の額が過去3年の試験研究費の平均額を超え、かつ過去2年のうち多い方の額を超えていること
(※2)試験研究費の額が過去3年の平均売上の10%を超えていること
繰越控除制度の廃止
控除上限額を超えてしまった場合の1年間の繰越控除は今後廃止となります。
所得拡大促進税制の要件緩和
現行、給与等支給増加割合が平成27年度は3%以上、平成28年度以降は5%以上となっていましたが、企業の規模に応じて、要件が緩和されます。
・中小企業については、平成28年4月1日以後開始事業年度について給与等支給増加割合を3%以上とする緩和措置が導入されます(→平成28年度以後3%に緩和)。
・中小企業以外については、平成28年4月1日~平成29年3月31日まで開始の事業年度について4%以上とする緩和措置が導入されます(→平成28年度のみ4%、平成29年度は5%)。