法人税実効税率引き下げ

いよいよ、法人税の実効税率引き下げが真剣に議論されるようになりました。現在実効税率は東京都で35.64%ですが、これを3~5年かけて、20%台に引き下げるというものです。しかし、20%台に下げると税収が約3兆円減少するそうです。消費税の1%増税で約2兆円の増収という試算(※ただしこの試算は楽観的で、それほど増収しないとも言われています)がありますので、法人税率引き下げのインパクトはそれなりに大きいものといえそうです。
この財源を賄う手段が常に議論されており、財務省は一貫して課税ベースの拡大を主張してきました。これに対し、景気回復に伴う税収の増加を見込むべきとの論調も大きくなってきました。
このような折、税制上優遇されている公益法人について課税強化すべきとの意見が財務省から上がってきました(平成26年4月30日日本経済新聞朝刊)。社会福祉法人、学校法人、宗教法人など公益法人は、収益事業については課税されますが、その税率は一般の法人に比べ優遇されています。また、収益事業以外の収益については公益性を勘案し、法人税が非課税となっています。
では収益事業とは具体的にどのようなものなのでしょうか。下記34業種が該当します。具体的には、宗教法人が保有する土地から生じる駐車場の収入はもちろん、学校法人が販売するコピーカードの販売収入など継続性があり、下記34業種の範囲内のものが該当します。

(1)物品販売業 (2)不動産販売業 (3)金銭貸付業 (4)物品貸付業 (5)不動産貸付業 (6)製造業 (7)通信業 (8)運送業 (9)倉庫業 (10)請負業 (11)印刷業 (12)出版業 (13)写真業 (14)席貸業 (15)旅館業 (16)料理飲食業 (17)周旋業 (18)代理業 (19)仲立業 (20)問屋業 (21)鉱業 (22)土石採取業 (23)浴場業 (24)理容業 (25)美容業 (26)興行業 (27)遊技所業 (28)遊覧所業 (29)医療保健業 (30)技芸・学力教授業 (31)駐車場業 (32)信用保証業 (33)無体財産権の提供業 (34)労働者派遣業

この34業種について、業種範囲を拡大することが検討されています。併せて、現在非課税とされている資産運用収益の課税も検討されています。
公益法人は政治が絡む問題であるため、課税範囲拡大がどこまで実現するかは不明ですが、先日報道されたとおり、外形標準課税の課税対象企業の拡大などが見込まれています。
法人税実効税率引き上げと併せて、これから税制が変わろうとしています。

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